昔に比べて年金支給額は下がり続けていますよね。逆に、消費税や物価は上昇傾向にあり、年金だけで不安な時もあります。
病気や怪我で医療費がかさんでしまったり、家族の介護が必要になったり、住宅の改修費が必要になった・・・など年金受給していても、お金って意外とかかるもの。
果たして、年金を受給している人でもお金は借りられるの?年金を担保にすることは可能?
いざ、借りようと思っても年金受給者というだけで断れてしまうことが多いです。一体どうしてなのでしょうか?
「年金を頼りに生活している」ことももちろんですが、一番の理由としては、年齢があげられます。年金(ここでは老齢年金を指します)を受給する人は、どんなに若くても60代。
当人に返済する意思や確実な見込みがあっても、返済の途中で亡くなってしまう可能性が高いです。そうなってしまうと、融資した側は完済してもらえず、貸し損となってしまいますよね。
もちろん、収入面でも貸すには「難」と示されることも。融資する側からすると、それなりの収入がないと安心して貸すことはできません。
それならば、受給中の年金そのものを担保に、お金を借りることはできないのでしょうか?担保があれば、借りられる可能性はグンと上がりそうですが・・・。
民間企業が年金を担保にして融資することは、法律で禁止されています。もし、キャッシングの申込みに行って年金手帳の提出を求められたら、闇金の可能性が高いので注意です。
ただし、それはあくまでも民間での話。公的機関では年金担保が認められています。年金を担保に融資をしてくれる公的機関は「独立行政法人 福祉医療機構」と「日本政策金融公庫」のふたつ。
独立行政法人福祉医療機構の融資には「年金担保貸付事業」と「労災年金担保貸付事業」の2種類があり、総称して「年金担保融資制度」と呼ばれています。誰でも利用できるというわけではなく「年金だけで、通常の生活を送るのが困難であること」が条件となります。
対象者は、厚生年金・船員年金・国民年金(老齢福祉年金を除く)・労働者災害補償保険年金の受給者となっており、元公務員は共済年金のため、対象外となります。
年1.2〜1.9%という低金利で、最大200万円までの融資を受けられますが、融資額は年間の年金全額の0.8倍以内が上限。返済額は、1回の年金支給額の1/3以下までです。申込みから融資までにかかる期間は、3週間ほど。
日本政策金融公庫の融資は「恩給・共済年金担保融資」と呼ばれており、こちらは最高250万円までの融資に対応。沖縄県のみ、沖縄振興開発金融公庫で取り扱っています。
恩給・災害補償年金受給者の場合は、担保とする年金の年額3年分以内までで、年0.45%の金利。共済年金・厚生年金受給者の場合は、年金の年額2.2年分以内(生活資金なら100万円)までで、年1.95%の金利。
こちらは事業資金としても使うことができますが、年金が全額返済に充てられるため、完済するまで年金を受け取ることができません。また、こちらも融資までには1ヶ月近く待つこともあります。
公的機関の融資は、なんといっても金利が安いのが魅力ですが、いかんせん融資までに時間がかかってしまうのがネック。年金を担保にすることに、抵抗がある人もいるでしょう。これらの融資以外に、もっと早く、もっと気楽に借りる方法はないのでしょうか。
カードローンなら、申し込んだその日にお金を借りることができますよ。なかには、即日融資に対応してないものもありますが、それでも公的融資に比べればスピーディ。最近では、WEB完結といって、一度も来店せずにパソコンやスマホから、申込み〜融資まで行えるカードローンもあるんですよ。ひと昔前では考えられないことですよね。
しかし、カードローンならどれでも申し込めるかというと、残念ながらそういうわけではありません。申し込むには、クリアしなければならない条件があります。
カードローンを申し込む際、そのカードローン会社が設けている一定の条件を満たす必要があります。どのカードローン会社でも、必ず年齢制限があります。
銀行系だと65歳未満、消費者金融系だと69歳未満となっていることが多いです。なかには、60歳未満や70歳未満を対象にしてるところもあり、カードローン会社によって多少の誤差があります。銀行系だとメガバンクより、地域密着型の地方銀行のほうが、年齢制限の上限が高い傾向にあるようです。
カードローンの審査で重要視されるのは、何と言っても「安定した継続収入」。正直なところ、専業主婦より年金受給者のほうが、条件的にはキビシイといえます。
専業主婦は収入が全くないとしても、配偶者に安定した収入があるなら、総量規制の対象外である銀行カードローンなら借入することができます。
しかし、年金受給者の場合、収入は年金のみだと断られることが多く、年金以外の安定した収入が求められることが多いです。年金=「安定した継続収入」と認めないカードローン会社が多いのです。
かといって、安定した収入を得るために働くにしても、なかなか働き口を探すのは難しいですよね。しかも、収入を得てしまうと在職老齢年金といって、年金をカットされる可能性もあります。
それでも、三井東京UFJ銀行・みずほ銀行・オリックスクレジットなど一部のカードローン会社では、年金収入でも申込みできるところも存在しますよ。
また、一部の信用金庫では「シルバーきゃっする」なる、年金受給者を対象にしたシルバー向けカードローンも存在します。こちらは60〜69歳以下を対象としており、年金を受給していることが条件となっています。
名前を聞く機会の多いカードローン会社の対応を一覧にしてみました。まずは消費者系です。
続いて銀行系です。消費者金融として有名だったレイクですが、今は銀行系カードローンになっています。
ただし、どのカードローンも、年齢制限&収入面をクリアしていたからといって、必ずしも審査に受かるとは限りません。審査では「返済してくれるかどうか」が重要となるため、過去に金融事故歴があると審査を落とされる可能性があります。
カードローンは無担保でキャッシングできるため、それなりに審査は厳しいです。しかし、年金受給者でも公的機関やカードローン以外にお金を借りる方法が、実はまだあります。その方法と安全性についてもお話ししていきますね。
リバースは「戻す」、モーゲッジは「抵当・担保」という意味で、持ち家を担保にお金を借りる方法になります。数多くの銀行で取り扱われており、シニア世代から注目されています。
持ち家に住み続けながら借入することができ、月々の返済は不要(または利息だけ)。亡くなった際に、持ち家を売却して返済することができます。配偶者が生きていたり、子供がいる場合は、生命保険や持ち家以外の返済方法を選ぶこともできます。戸建てが対象となるのが一般的ですが、一部マンションもOKとするローン会社もあります。
手元にクレジットカードを持っているなら、とても魅力的に感じるかもしれませんが、クレジットカード現金化は違法行為です。クレジットカード現金化の業者は、闇金業者とほとんど変わりなく、とんでもない暴利でお金を借りることになります。
一度でも現金化してしまえば、クレジットカード剥奪されるばかりか、一括返金などのペナルティを課せられますよ。審査もなく、すぐに現金が手に入ったとしても、あとに残るのは、高金利が上乗せされた借金のみです。
「どこからも借りられないなら、生活保護?」と思う人もいるかもしれません。生活保護なら返す必要もないし、年金と併用すれば生活が豊かになりそうですよね。しかし、年金受給者が生活保護を受けることはできるのでしょうか?
結論から言うと、年金受給者でも生活保護を受けるのは可能です。しかし、受けるためには条件があります。
まず、生活保護というものは、資産、能力、援助や扶助を活用しても、最低限の生活を維持できない場合に適用されます。土地・持ち家・生命保険・車などの資産がある場合、全て処分しなくてはいけません。貯金額も5万円程度までなら、生活保護の対象となります。
支給額は、居住する地域や家族構成などで異なってきますが、1人暮らしの人だと12万円くらいが相場。年金を受給している場合は、支給額の合計が一定額を超えると差額分がカットされてしまう仕組みになっています。
例えば、最低生活費を12万円と設定した場合、年金支給額が10万円なら支給される保護費は、12万円−10万円=2万円となります。
生活保護を受けるためには申請する必要がありますが、申請先は各市町村の福祉事務所(なければ役場)となり、収入や資産の証明する資料を提出しなければなりません。
申請から14日ほどで審査が終わりますが、生活保護の支給が始まっても、抜き打ちでケースワーカーが家庭訪問にきて、生活状況の確認をします。生活保護を受けている以上、贅沢は許されません。
いかがでしたか?年金暮らしをしている人でも、お金を借りる方法がいくつかあることがわかりました。
「年金担保融資制度」を始めとする公的融資なら、低金利で借りることができますが、審査が厳しかったり融資までに時間がかかるため、融通が利くとは言い難いものです。
その点、カードローンは融資の早いところなら即日。申込み〜契約をインターネットから気軽に行えるのも魅力です。ただし、年金受給者でも申込み可能なカードローンは限られていますので、事前に確認する必要がありますよ。
もし持ち家があるのなら、それを担保にするリバースモーゲージというローンもあります。これなら、返済できず家族に迷惑をかけることもありません。間違っても、クレジットカード現金化に手をだすことはしてはいけませんよ。これは違法行為です。
どうしてもお金に困っていて、資産もなにもないというなら生活保護という手段もありますが、残念ながら支給される上限金額は決まっているため、年金+生活保護=支給額とはなりませんのでご注意ください。