一生の財産にもなりうる「住宅」は債務整理を行う上でも重要な存在となるでしょう。
「債務整理後の住宅購入」なのか「住宅購入後の債務整理」なのかによって状況は変わってきます。順を追って詳しく確認していきましょう。
任意整理・個人再生・自己破産など債務整理を行うと完済後最低5年はブラックリストに名前が載ります。5年経てば誰でも住宅を購入できるかと言えば、そう簡単ではないようです。あくまで事故記録の保有が5年と定められているだけであり、その後その情報をどうするかは会社それぞれによります。
債務整理を行った借入先の金融機関とそのグループ会社の場合は5年以上独自の信用情報を共有おり、完済後5年経っていても審査は難しいでしょう。
もし住宅を購入するのであれば債務整理を行った会社は避けるべき。なので住宅購入を検討しているのであれば、まずは借入先の金融機関のチェックからしてみるといいでしょう。消費者金融とグループ会社の一例です。
自分の信用情報は開示請求することで閲覧が可能です。債務整理後の完済から5年以上経過しているんであれば、住宅ローン審査前に個人信用情報の開示をしてみましょう。
もし信用情報を確認せず住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、その記録も個人信用情報に掲載されてしまうのです。一度住宅ローンの審査に落ちてしまうと、その後ほかの住宅ローンの審査も通りにくくなってしまいます。
なので事前に自分の信用情報をチェックしてみましょう。信用情報機関は以下の3つで、簡単な手続きで見ることができます。
開示方法は郵送と窓口のほかにインターネットでも閲覧可能ですが、インターネットの場合にはクレジットカードが必要になるので注意しましょう。もし完済から5年が経過しているのに記載されていたり、内容に間違いがあれば登録した会社に訂正手続きをとりましょう。
住宅ローン審査の条件は以下の5つを重視します。
借入希望額と収入が第一にチェックされます。一般的に住宅購入金額は年収の5倍以内と言われており、収入く比べて借入希望額が大きすぎるとローンの審査は難しくなります。
次にチェックされる返済負担率、これは年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合を指します。年収が500万円、年間返済額140万円とした場合の返済比率は28%、一般的に25〜35%が審査基準になります。
しかし、いくら基準をクリアしていても年齢が行きすぎていると審査を通りづらくなる場合があります。ローンを組む時の年齢が上がるほど返済完了時の年齢が上がるわけで、払っている途中で退職などすればその後の支払い能力がなくなる可能性が高いためです。
また住宅ローンを組むと同時に団体信用生命保険に加入が条件となっている場合が多いので、抱えている持病によっては審査が通らなくなります。今は三大疾病や七大疾病を保障などの特約付きもあるので、これから生命保険に入るつもりであれば住宅ローンの団体信用生命保険という手もあります。
最後は信用情報です。住宅ローンを借りる場合、本来は保証人は必要ありませんが保証会社というクレジット・信販系などの会社による保証が必要です。
銀行で審査が通っても保証会社が以前債務整理している会社の場合は通らない可能性があります。もし保証会社をつけないのであれば、かわりに保証人が必要になるので事前にしっかりチェックをしておきましょう。
同じ「借りる」でも、やはり公務員や大手企業の正社員は安定した収入継続が見込めるため審査に有利と言えるでしょう。勤続年数も長ければ長いほど、安定していると見なされます。
逆に自営業だったり、短期間に職を転々としている場合は審査が通りにくくなるかもしれません。しかし、一番重要視されるのは職業よりも、無理なく返済できるかどうかになります。
金融機関は独自のブラックリストをグループ会社全体で共有しているので、審査に通りやすくするためには債務整理した金融機関と関連のない銀行で貯蓄をしていくことをオススメします。
都市銀行より地方銀行のほうが審査が甘いとされています。また信用金庫は地元発展や個人支援などの役割が大きいので銀行に比べて審査基準が甘いです。金融事故というのは個人単位になるので、金融事故のない配偶者にローンを組んでもらうのもひとつの手になります。
ただし、配偶者にローンを組んでもらって自分が保証人になる場合は、保証人も信用情報をチェックするので注意してください。
もし完済後にどうしてもマイホームを購入したい場合には眉唾モノの裏技ともいえる行動ではありますが、3回以上引越しをすることです。3回以上引越しをすることで信用情報の記載がなくなる噂があるようですがあくまで噂。試すのであれば自己責任となります。
住宅購入って土地・住宅のお金だけだと思っていませんか?実はそれ以外にも諸経費がかかってきます。諸経費はマイホーム取得にかかる費用、ローンにかかる費用、税金の3つに分かれます。
諸経費は物件価格の5〜10パーセント程度といわれているので、3000万円の物件なら300万円程度が必要になってきます。諸経費の中には購入時で終わるだけでなく、毎年払い続けていくものもあります。
住宅購入最初の数年は軽減措置を取っている税金もあるので、通常税額になった後も見越した返済プランを考える必要があります。またマイホームは建てて終わりですが、生活していく上での家電や家具、庭やガレージなど外構費も見落としがちな費用と言えます。
マイホームの物件価格だけではなく諸経費の面も考慮して無理なくローンを組みたいものですね。
金融機関の審査が通ったからといって安心して完済できるとお思いでしょうか。「家賃並みの支払いでマイホームを手にできる」と良い話だけに飛び乗って、住宅ローン破綻する家庭は意外に多いです。こんなご時世ですから、突然年収が下がった・・・なんて決して他人事ではありません。
アテにしていたボーナス・退職金が思った以上に少なかった・・・なんてことも多く、そこからローン延滞する人が多いのが現状です。イケると思った住宅ローンでしたが、ローン破綻すればマイホームを手放す必要がでてきる場合もあります。
マイホームも手放す覚悟でする債務整理とはどんなものなのでしょう?
マイホームをどうしても手放したくない!そう思う人も多いはず。安心してください。「債務整理=マイホーム」を手放すわけではありません。債務整理の中である程度自由のきく「任意整理」だとマイホームを債務整理の対象から外すことが可能です。
また「個人再生」の場合には住宅ローン特則を適用させることができます。ただし「自己破産」の場合は残念ながら資産となりうるマイホームは手放さなくてはなりません。住宅ローンを対象から外すことができても、もともとは借金がどうしようもなくなっての債務整理。果たしてローンを払っていけるのでしょうか?
個人再生で減額できないものの、住宅ローンは債務整理とともにプランを見直すことができるので今までの負担が少しは軽くなるかもしれません。しかし住宅ローンとは別に、借金の返済もしていかなければいけないので現実問題はなかなか難しいでしょう。
もし借金がどうしようもなくなって、マイホーム自体を債務整理する場合。購入した不動産には抵当権がつけられており、自己破産を行った場合にはマイホームは競売にかけられることがほとんどです。
しかし競売というのは非常にデメリットが多いのです。競売による売却価格は確実に売却することが目的のため、市場価格の5〜7割程度と安く設定されています。落札されてしまえばすぐに退去しなくてはいけませんし、新聞やインターネットに競売情報が載るので近所に知れ渡ってしまいます。
どうせ手放すマイホームなら競売にかけられるその前に、自ら住宅を売却して住宅ローンに返済にあてられる任意売却をしてしまいましょう。競売よりははるかに高値で売却できますし、引越代金を支払ってくれるケースがあるほか、引越の時期もある程度融通が利きます。
ただし、任意売却の場合は売れなければ意味がないので、競売にかけられるその時までに売却される必要があります。もし自己破産を検討しているのであれば、裁判所に支払う予納金が大きく変化するので任意売却を先に行ったほうが断然有利です。
引越しやアパートの契約更新などの入居審査には信用情報は影響がありません。不動産には照会する権利はありません。ただし、家賃保証会社が信販系保証会社だと入居審査に通らない場合があります。
完済して5年以上が経過しているにもかかわらず審査に通らない場合があります。これは消費者金融との契約が原因の場合があります。契約には「個別契約」と「包括契約」というものがあります。
個別契約は返済を終えるとそこで契約終了となりますが、包括契約は支払いを終えてもそのまま借入れられ可能状態が続きます。包括契約を行っている場合は完済したにもかかわらず信用情報に記録が乗り続けてしまい、住宅ローン審査時に「この人は新たに借金をする可能性がある」と思われてしまいます。
記録を消すためには解約手続きをする必要があります。しかし、残念ながら急いで包括契約を解約してもそこから最低5年は信用情報に記載されます。解約証明書の提示することができれば住宅ローンの審査を通る場合もあるので諦めないで。解約証明書は消費者金融に請求することで発行してもらうことができます。
誰しもが一度は夢見るマイホームでの暮らし。債務整理後にしても債務整理前にしても、その住宅ローンは自分に無理があるのかないのかを今一度しっかり確認してみることが重要ですね。債務整理をしているからってマイホームを諦める必要はありませんよ。